シェンゲン協定とは

シェンゲン協定とは

シェンゲン協定は、加盟しているヨーロッパの国家間においては、国境検査なしで人や物が自由に移動することを許可する協定。

この協定は、現在ではEUの法律に統合されていますが、元々はECおよびEU内での意見一致が得られず、ユーロのようなECやEUとしての枠組みではありませんでした

1985年、当時のEC加盟国のうち、1948年に関税同盟を結成した際に3国間での国境審査を撤廃していたベネルクス三国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)にフランスと西ドイツ(のちのドイツ)を加えた国境の接する5か国が、ルクセンブルクのシェンゲン村で『共通国境管理の漸進(ぜんしん)的撤廃に関する協定』に署名、同じく1990年に同地で『シェンゲン実施協定』に署名します。

シェンゲン協定では、シェンゲン圏内の人や物の移動を自由化するため、加盟国は査証(ビザ)や亡命・難民の受け入れ等に関して共通の政策をとることになっており、情報共有のためのデータベースとして、シェンゲン情報システムSISを運用。

残りのECおよびEU加盟国のうち、イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガルが加盟し、シェンゲン協定は1995年3月より実施されました。

その際に加盟しなかったのは、イギリスとアイルランドとデンマーク。

1922年アイルランド自由国(アイルランド共和国の前身)建国直後の1923年に、イギリスとアイルランドおよび周辺諸島はCTA(Common Travel Area)という共通旅行区域の協定を結んでおり、イギリスとアイルランドの両国間の国境はすでに開放されていたわけですが、イギリスはシェンゲン協定加盟に消極的だったため、アイルランドも加盟を見送ります。

また、1952年には北欧5か国デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンおよび属領では、相互に自由な渡航を認める同盟を結成しており、1958年に国境検査がすでに撤廃されていました。

その影響もあってか、デンマークも一度は加盟を見送ります。

しかし、シェンゲン協定実施後まもなくオーストリアと共にアイスランド、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドが加盟することになり、デンマークも一緒に加盟しました。

その際、オーストリア、スウェーデン、フィンランドはEFTAを脱退しEUに加盟。

アイスランドとノルウェーはEFTAに残りました。

その後の1999年、シェンゲン協定はEUの法律に統合され、イギリス・アイルランドを除くEU加盟国はシェンゲン協定の施行が求められるようになりました。

2007年には、2004年にEU加盟したキプロス、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキア、スロベニアのうちキプロス以外の9か国がシェンゲン協定を実施。

キプロスは、キプロス紛争の影響から2017年現在も未実施のままです。

2007年にEU加盟したブルガリアとルーマニア、2013年にEU加盟したクロアチアは、実施に向けて整備が整うまでは未実施となっています。

2008年にはEUではなくEFTA加盟国のスイスがシェンゲン協定に加盟。

それ以前よりスイスへの国境を開放していたEFTA加盟国のリヒテンシュタインも、2011年にシェンゲン協定へ加盟。

このような流れから、シェンゲン協定はEUの法律でありながら、一部ではEU加盟の有無に関わらない協定となっています。

(参考:コトバンク

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