総選挙はもちろん、国民審査も重要です。

 

2017年10月22日に、第48回衆議院議員総選挙が行われます。

衆議院解散から40日以内に総選挙を行うことが日本国憲法第五十四条で定められていますが、9月28日の解散から公示日の10月10日まで12日間、公示日から10月22日の投開票までも12日間で、解散から投票日までの期間は24日間と現憲法下では5番目の短期決戦。

現職議員はもちろん、現職でない野党候補も常に準備しているものかとは思いますが、解散から公示日までの期間が短いと、特に無所属での立候補が難しくなり、候補者数が少なくなってしまう傾向があるのではないかと思います。

そうなると投票の選択肢が少なくなり、私は今回、特に小選挙区に関しては頭を悩ませています…。

しかしながら、このような短い選挙期間も政権与党だからこそなせる政治戦略、選挙戦略であり、それに納得がいかないのならば尚のこと政治参加していくべきであり、さらには各党の政策をより全世代向きにさせるためにも18歳〜30代という若い世代の投票率を上げることが大切だと思います。

 

さて、総選挙と同時に行われる大事な制度にも関わらず、あまり話題にならないのが最高裁判所裁判官国民審査

小選挙区、比例区と投票したあと、審査される裁判官の名前に×を付けるか付けないかして投票する、あれです。

「汚職した裁判官は弾劾裁判で罷免されるし、そもそも法律をきちんと把握していない私が審査しても…」と、恥ずかしながら今まで特に考えず投票していました。

しかし、今回の総選挙で日本の政治や制度を考えるにあたり、「あれ?国民審査って、実はかなり大事な制度じゃない?」と考え改めるに至りました。

そもそも国民審査とは(参考:総務省|国民審査|制度のポイントを知ろう!

最高裁判所裁判官国民審査とは、すでに任命されている最高裁判所裁判官について、その職責にふさわしいかどうかを国民が審査するという、日本国憲法第79条に規定された解職の制度です。

最高裁判所の裁判官は、任命された後に初めて行われる衆議院議員総選挙の投票日に国民審査を受け、その審査の日から10年を経過した後に初めて行われる衆議院議員総選挙の投票日に再度、国民審査を受けます。

その後も、10年を経過するたびに審査対象となります。

審査の投票権は衆議院議員の選挙権に準じ、審査は衆議院議員総選挙の投票日に衆議院議員総選挙投票所で行われます。

最高裁判所裁判官国民審査では、審査を受ける裁判官の氏名が投票用紙に印刷されており、裁判官ごとに、辞めさせたい意思があれば「×」を記入し、なければ何も記入せずに投票。

つまり、白票は棄権ではなく全員を信任したということになるので、棄権するには投票用紙を受け取らないか返却する必要があります。

「×」以外の事項を記入した投票は無効です。

「×」を記入された票が何も記入されていない票の票数を超えた場合、その裁判官は罷免されます。

しかし、投票総数が選挙人名簿登録者数(有権者数)の100分の1に達しない場合は、この限りではありません。

 

なぜ国民審査が重要なのか(私個人の解釈です)

日本は法治国家であり民主主義国家です。

国民が守るべき法律は、国民によって選出された国会議員によって話し合われ制定されます。

そして、国民の行動が法律に違反していないか、判決を下すのが裁判所であり裁判官です。

その際、「◎◎という行動は、××という法律に違反していて懲役□年という判例があるので、◎◎の事例に近い今回の案件は、それと同等の判決がふさわしいだろう」というように、過去の判決(判例)も判断材料となります。

そしてそれが、さらに判例となっていきます。

つまり裁判官は、判決を下すと同時に「判例を作る」という行為を行っているわけです。

ではその判決が、日本や日本国民にとって不条理な判決だった場合はどうでしょうか。

そこで、国民審査です。

判決を下した裁判官が国民審査で罷免されることにより、「この判決を下した裁判官は罷免された」という判断材料を付け加えられます。

最高裁判所以外の裁判官の罷免はできませんが、日本は三審制となっているので、地方裁判所や高等裁判所での判決が不服だった場合は控訴および上告することで最高裁判所での判決を求めることができます。

そして最高裁判所での判決は、日本の最終判断となります。

裁判官は、国会議員のように国民から直接選出されるわけではありません。

であれば、日本の最終判断が日本として本当に正しかったのかを精査する責任が、日本国民にはあると考えます。

民主主義国家として、裁判所や1人の裁判官が力を持ちすぎることを防ぐためにも、一般日本国民が司法を是正できる手段として、国民審査はかなり重要な制度だと思います。

もちろん、職務をまっとうし妥当な判決を下した裁判官は罷免されるべきではないので、いたずらに「×」をつけるのは許される行為ではありません。

審査対象の裁判官が過去にどのような判決を下してきたか、きちんと知ってから投票すべきです。

 

審査される裁判官を把握しよう

最高裁判所裁判官は、長官と判事合わせて全員で15名。

そのうち今回審査対象となるのは、小池裕(こいけ ひろし)氏、戸倉三郎(とくら さぶろう)氏、山口厚(やまぐち あつし)氏、菅野博之(かんの ひろゆき)氏、大谷直人(おおたに なおと)氏、木澤克之(きざわ かつゆき)氏、林景一(はやし けいいち)氏の7名です。

審査対象の裁判官についての情報は、「最高裁判所裁判官国民審査公報」に掲載されるほか、裁判所サイトの最高裁判所の裁判官ページで確認することができます。

報道などではどうしても総選挙がメインになってしまい、審査対象の裁判官について大々的に報じるメディアは少ないですが、国民審査にあたり対象7名にアンケートを行った記事や、7名が過去に関わった裁判や判決をまとめている記事などもあります。

総選挙においても言えることではありますが、テレビや新聞の情報を鵜呑みにするのではなく、自分で簡単に、あらゆる方面からの情報を収集・判別できる現代です。

言い換えれば、「よくわからない」で逃げずに調べれば「少しはわかる」に簡単になれる時代だと思います。

選挙も国民審査も、結局は自分の生活に関わること。

私自身、どちらも逃げずにしっかりと調べて考えてから投票に行きたいと思います。

 

 

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